更年期の強烈なめまいは骨粗鬆症が原因?良性発作性頭位めまい症とは?

更年期の体の不調の原因と対策
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更年期の強烈なめまいは骨粗鬆症が原因?良性発作性頭位めまい症とは?

 

更年期に起こる不定愁訴の中でも、めまいは比較的多く聞かれる症状です。めまいにはいくつか種類があります。

 

今回は「良性発作性頭位めまい症」について詳しく紹介したいと思います。

 

良性発作性頭位めまい症はメニエール病と間違えられる

 

めまいは比較的女性に多い症状です。その原因は個人差がありますし、年代によっても特徴がみられます。

 

急に立ち上がったときに眼の前が真っ暗になる「立ちくらみ」もめまいです。これは思春期の女子に多いことは知られていますね。

 

また、めまいといったら多くの人がメニエール病を疑いますが、診療を受けてメニエール病と診断されるのは10%程度ということです。

 

発症のピークは30歳後半~40歳代といわれています。

 

ストレスが大きな原因と考えられていて、仕事もプライベートも何かと忙しいこの年代に発症する人が多いのもうなずけます。

 

そういう点では、更年期もまさにストレス世代なので注意が必要であることに変わりはありません

 

メニエール病は内リンパ水腫が原因で起こります。これは、内耳の内リンパ液が水ぶくれを起こした状態です。

 

内リンパ液がなぜ過剰に増えてしまうのか、はっきりしたことはまだわかっていません。ただ、ストレスが要因になっていると考えられています。

 

このメニエール病と誤診されやすい病気に良性発作性頭位めまい症があります。実際に、内耳が原因で起こるめまいのうち約半分は良性発作性頭位めまい症です

 

更年期以降の女性が注意する良性発作性頭位めまい症とは?

 

良性発作性頭位めまい症」は近年増えている病気です。以前は高齢者に多くみられましたが、最近では若い世代の人にも発症することが多く、年代問わずめまいを訴えて受診する人の半数以上を占めているという医師もいます。

 

「良性」とあるように、特に命にかかわるような重篤な病気ではありませんが、発作時のめまいはぐるぐる回る回転性のもので、立っていられないほどの激しい症状がほとんどです。

 

良性発作性頭位めまい症になりやすい人
 
  • 運動不足の人
  • 頭を強打した人
  • 更年期
  • 加齢

 

これらの人が発症しやすいのですが、長期間病気で臥せっていたりマッサージ機を長く使用したことなどでも起こることがあります。

 

それは、この病気が内耳にある耳石がはがれてしまうことが原因とされているからです。

 

良性発作性頭位めまい症ってどんな症状?

 

まず、このめまいの特徴を知っておきましょう。頭位は頭の位置です。ある特定の位置に頭を持ってきたときに突然めまいが起こります。

 

めまいが起きる状況はこんなとき
 
  • 起床時に布団から起き上がったとき
  • 寝返りをうったとき
  • 高いところのものを取ろうと上を向いたとき
  • 急に振り返ったとき
  • 髪を洗おうと下を向いたとき
 

めまいの多くは回転性のもので、非常に強く症状が出ます。吐き気がしたり実際に嘔吐してしまうこともあるほどです。ただ、その時間は短く数十秒から長くて1分程度で治まります。

 

耳鳴りや耳閉感、難聴など聴力の異常は伴わないと言われていますが、臨床現場では必ずしもそうではなく、患者の中には耳鳴りなどを訴える人は少なからずいるようです。

 

ただ、このめまいは平衡感覚を司る前庭部分の異常で起こるもので、聴覚を司る蝸牛に異常が認められないため、耳鳴りなどは伴わないという見解が一般的なのです。

 

これがメニエール病と誤診される大きな要因となっています。

 

頭位めまい症の特徴

  • 特定の位置に頭があるときにめまいがする
  • めまいの強さは大きい(回転性が多い)
  • 短い時間で治まる
  • 聴覚の異常はない

 

良性発作性頭位めまい症の原因と骨粗鬆症の関係

 

良性発作性頭位めまい症は内耳にある耳石が剥がれ落ちて三半規管に入り込むことが原因で起こります。耳には音を聞くことと同じくらい大切な「平衡機能」という役割があります。

 

頭位めまい症発症のメカニズム

 

内耳にある前庭器官は地面に対する頭の位置を感じ取る器官で、耳石器と三半規管から構成されています。

 

 

  • 三半規管-体が回転する動きを敏感に捉える
  • 耳石器-上下方向・前後方向・左右方向の体の動きや重力を捉える

 

耳石器には水平の動きをキャッチする卵形嚢と垂直の動きをキャッチする球形嚢の2つの袋状のものがあります。

 

この中には内リンパ液と耳石が満たされていて、耳石が内リンパ液の中を動くことによって感覚毛が刺激されて位置を感知する仕組みになっています。


この耳石が何らかの原因によって剥がれ落ちて、三半規管の中に入り込むことでめまいを起こします。


三半規管は体が回転したことを感知するのでしたね。通常は頭を動かすと3つの半規管(前半規管・後半規管・外側半規管)でどの方向にどのくらいの加速度で回転したかを前庭神経を通して脳に伝えます。


ところが、耳石が混入してしまうと実際の姿勢と脳が受け取った情報との間にズレが生じます。平衡感覚は耳だけでなく、目からの情報や筋肉や神経など運動器官からの情報も併せて脳が判断するためです。


例えば、正常であれば頭を動かすと内リンパ液が流れ、静止すると内リンパ液も動かなくなりますが、異物が入ったことによってリンパの流れがかき乱されます。

 

実際は静止しているのに、内リンパ液の中の耳石が動いているので、脳は混乱してしまうわけです。


これが良性発作性頭位めまい症を発症するメカニズムです。耳石が完全に静止すればめまいは解消されるので、症状は数十秒から数分で治まるのです。


 

耳石は骨と同じ炭酸カルシウムでできている

 

良性発作性頭位めまい症になりやすい人で挙げたように、更年期に発症しやすいのですが、その理由のひとつにエストロゲンの減少による骨粗しょう症があります。


女性ホルモンのエストロゲンは、骨を丈夫に保つ作用があります。


骨は日々新しく再生されています。骨には破骨細胞・骨芽細胞・骨細胞があって、古くなった骨は壊され、新しい骨が作られます。

そのバランスがとれていれば骨は丈夫に保たれますが、更年期になってエストロゲンが激減すると、骨の破壊に再生が追いつかなくなり、次第に骨はスカスカになってしまいます。


これが骨粗しょう症ですが、耳石も更年期にはもろくなってはがれやすくなります

 

運動不足がさらにめまい症状を引き起こす

 

古くなった耳石は、自然に細胞内から離れますがやがて吸収されます。ところが、上記で説明したように三半規管に入り込んでしまった場合、やっかいなことになります。


耳石は小さな粒の集りなので、通常は三半規管に入っても動いているうちに砕けて吸収細胞に吸収されます。粒が小さいうちはリンパ液の流れを著しく乱すことはないのです。


ところが、運動不足で頭を動かさないでいると、いつまでたっても砕けることがなく、ましてや同じ場所に停滞していることによって大きな塊りになってしまうこともあります。


更年期の女性に発症が多いのは、耳石がはがれやすくなっていることに加えて運動不足が指摘されているのです。

 

良性発作性頭位めまい症と診断されたら?どんな治療がある?

 

めまいの診断はやはり専門のお医者さんに診てもらうのが一番です。良性発作性頭位めまい症は、発作が起きたときの状況や既往症などの問診と簡単な検査でほぼ診断がつきます。

 

めまいが起きたときの状況を冷静に把握しましょう

 

問診で重要なのは、どのような状態のときにめまいが起きたか、どのくらい続いたかです。良性発作性頭位めまい症の発作は、重篤なものではありませんが、発作の強さは強烈です。


吐き気や嘔吐を伴うと、脳に異常があるのではないかと不安になると思いますが、動かなければ次第に(数十秒から数分以内)治まってきます。


めまい専門医の著書にも、脳の異常であれば、それほど早い時間でめまい発作が治まることはほぼないので、安心して良いという見解がほとんどです。

 

めまいの検査で行われる頭位変換眼振検査とは?

 

めまいの検査でたいてい行うのが眼振検査です。特殊な眼鏡を装着して、頭を動かしながらどの体勢で眼振が生じるかチェックする検査を頭位変換眼振検査といいます。


頭を動かした後で眼振が認められ、やがてめまいが軽減する場合には良性発作性頭位めまい症が疑われます。


眼振がしばらくたっても治まらずに続いている場合は、中枢系の病気の可能性があるので、脳神経外科や神経内科の受診が必要になります。

 

良性発作性頭位めまい症は耳石を取り除く理学療法

 

このめまいの治療は、基本的には三半規管に入り込んだ耳石を追い出します。どこに入り込んだかによってやり方が異なります。


めまいのタイプはおおまかに3つあります。

 

  • 後半規管型・・・前後方向の動きで起こる
  • 外側半規管型・・・左右の回転方向の動きで起こる
  • クプラ結石

 

クプラは半規管の膨れている部分(膨大部)にある神経で、ここに耳石がくっつくことによってめまいが起きます。この場合発作は2分程度続きます。


タイプを見極めたうえでエプレイ法、レンパート法、ブラントーダーロフ法など理学療法が行われます。

 

投薬は対症療法!根本治療にはならない

この病気のめまい発作は強烈なことが多いので、吐き気が強く嘔吐してしまう人もいます。その場合は脱水症状を避けるために点滴をしたり、吐き気止めが処方されます。


血液の流れを良くする血流改善薬や、また激しいめまいが起きるのではないかと不安感が強い場合には精神安定薬が処方されることもありますが、あくまで対症療法であって、めまいの根本治療ではありません。

 

良性発作性頭位めまい症は自分で治せる!?

 

このタイプのめまいは、三半規管に入り込んだ耳石を取り除くことで解消します。医師による治療(先述したエプレイ法など)も同じです。

 

寝返り体操で解消

 

そこで、自分でできるように考案されたのが寝返り体操です。寝返りをうつことによって、三半規管に入り込んだ耳石を排除したり、かたまりができにくくしてめまいを解消する方法です。


たくさんの動画がネット上アップされているので、わかりやすい動画を探してみてくださいね。今回は私が実際参考になった廣井整体院の動画を紹介します。

 

 

訓練によって平衡感覚を鍛える!?

 

三半規管に入り込んだ耳石除去する方法とは別に、「めまいに慣れる」という考え方もあります。実際、治療にも取り入れて、患者さんに実践してもらっている医師も少なくありません。


良性発作性頭位めまい症のめまいは、内耳のセンサーが誤った情報を脳に送ることから起こるので、そのセンサーを「ここまでは大丈夫。バランスは崩れていない」とプログラミングしなおすのです。


東邦大佐倉病院方式の良性発作性頭位めまい症の運動療法が有名です。


東邦大佐倉病院方式の良性発作性頭位めまい症の運動療法(PDFで開きます)

 

その他にも、めまい訓練法を推奨する医師も多く、荒療治じゃない!?と思われるような訓練法もあります。めまいを誘発して慣れる方法です。やり方は簡単です。

 

  1. めまいのする方へあえて頭を動かしてめまいを誘発します
  2. めまいが起こったらそのままにして治まるまで待ちます
  3. めまいが治まったら元の位置に戻します

 

これを何度か繰り返します。繰り返しているうちに、めまいのしている時間が短くなっていき、やがて誘発も出にくくなります。


最後に、テレビでも紹介されためまい訓練法を紹介します。
こちらも廣井整体院さんです。

 

 

 

頭位めまい症対策はセルフケアと予防

 

良性発作性頭位めまい症は命に関わる病気ではありませんが、めまいの症状は不快です。ましてこのめまいの多くが回転性の激しい発作なので、同じ体勢をとることが恐くなってしまいますね。


でも、発作が起きてからなるべく早く対処したほうが再発も少なく済みます。もちろん、脳の病気など他の重篤な病気が原因のめまいではないことを診断してもらってから、なるべく早めにセルフケアをしてくださいね。


更年期は特に耳石がはがれやすく、また運動不足が加わってこのめまいを引き起こす女性が増えます。めまい予防のためにもこれらのポイントは実践してください。

 

  • 運動不足を解消する
  • 筋肉・関節を柔軟にする(ストレッチ)
  • 同じ姿勢を長時間とらない
  • 寝返りのうてる寝具を選ぶ

 

耳石がたまらないようにすることが大事なので、こまめに体を動かすようにしましょう。運動不足は大敵です。

 

また、更年期以降の女性にリスクが増大する骨粗しょう症を予防することもめまいを起こさないようにする秘訣といえます。

 

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まとめ

 

今回はめまいの中でも更年期の女性に起こりやすい「頭位めまい症」について紹介しました。強烈な症状なのでびっくりしてしまいますね。

 

でも、耳石が原因であるこのめまいは気をつけることである程度は防ぐことができます。骨を丈夫に保つことと適度な運動でしっかり予防しましょう。

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