更年期に起こる不快な症状はホルモンバランスと自律神経の乱れによるものです。それにはツボ押しが効果的。
今回は基本の2つのツボと更年期障害に関係した3つのツボを紹介します。
ツボ(経穴)はどこにある?探し方のポイント
一般に「ツボ」と呼ばれているのは、漢方など東洋医学では経穴(けいけつ)といいます。中医学や漢方では経絡(けいらく)という概念があります。
経絡とは、体を縦方向に走る目に見えないつながりで、気血を一定方向にめぐらせる大切な働きがあると考えられています。
経絡は特定の臓器(臓腑)につながっていて、それが体の表面に反映され、それを治療することによって臓腑の異常も治ると考えるのです。
経穴はこの経絡の上にあって、特定の場所に対応しています。
指圧や鍼灸によって経穴を刺激すると、その刺激が経穴から経絡に伝わり、経絡が通過している臓腑に届き、働きを調節すると考えられています。
経絡・経穴といわれてもピンとこない人も多いですよね。経絡が何であるのか、明快にはなっていないことも事実です。
ただ、ツボを刺激することによって血液循環がよくなったり、その効果は認められています。
- 血液循環の改善効果
- 神経系への刺激による鎮痛効果
- 内蔵機能や内分泌系の調整効果
- 免疫力の向上
ツボ押しは科学的な治療法?西洋医学から見てましょう
ツボ(経穴)は東洋医学から生まれました。その数なんと3000以上もあると言われています。
歴史も古く、日本に伝わってきたのは5世紀か6世紀頃です。 701年に設置された典薬寮という医療機関には、すでに鍼師がいて宮中の治療を行っていました。
その治療効果は高く、日本でも漢方薬と同じように受け継がれてきています。 近年になって、目に見えない経絡や経穴という概念を科学的に解明しようという動きが高まってきました。
神経が集中する場所がツボ(経穴)
東洋医学の大切な概念に「気・血・水」があります。気はエネルギーの流れで、経絡に沿って流れていると考えられています。
この気を西洋医学の観点で見ると、神経系や消化器系に置き換えることができます。
体のあらゆる情報は脳が管理しています。「熱い・痛い・不快など」の情報を脳に伝えるのが神経です。
神経がしっかり働いていれば、脳に情報がスムーズに伝わりますが、流れが滞っていると脳に伝わらずに心身にさまざまな不調が出てきます。
最近では、神経が集中するところにツボは多く存在することがわかってきました。
集中しているということは、混乱や停滞が起きやすい場所ですね。そこを刺激することによって流れをスムーズにするのが鍼灸治療です。
ツボ押しは手軽にできるセルフケア
鍼灸治療は免許を持った専門家にお任せするとして、ツボを押したり撫でたりするセルフケアは手軽ですぐにできます。
体のエネルギーの流れが悪くなって起こる更年期障害にも、とても有効です。
ただ、やみくもに押しても効果は半減!正しい位置と押し方を覚えて効果的に実践してくださいね。では、まずはツボを探してみましょう。
ツボの探し方はあんがい簡単!骨が目印!
ツボは神経が集中している場所です。神経は骨に添って走っていることが多いので、骨を目印にツボを探すと見つけやすいのですね。
例えば、足の甲にある「太衝(たいしょう)」は精神を安定させ、イライラやのぼせを抑える効果があります。更年期のイライラ症状改善にも覚えておきたいですね。
親指と第2指の合わせ目の少し上あたり。親指の骨の内側を足の甲からたどってみてください。
手の親指と人差し指の合わせ目の少し上にあります。この場合も骨をたどっていって、人差し指側の骨のキワのややくぼんだ部分が合谷です。
このツボは脳内のエンドルフィンという痛みを軽減する物質が分泌されます。頭痛や耳鳴りにも効果があります。
ツボにヒットすると、ツーンとした感じがします。「あ、そこそこ」という痛気持ちよいかんじ。
ツボの位置の計り方には目安がある
ツボの位置は、他にくるぶしから指4本分・・・といった説明が多く見られます。この場合、自分の指横幅を目安にします。
- 指幅1本分-親指第1関節の幅
- 指幅2本分-人差し指と中指を並べた幅。人差し指の第1関節のラインを見る
- 指幅3本分-人差し指・中指・薬指を並べた幅。人差し指の第1関節のラインを見る
- 指幅4本分-人差し指・中指・薬指、小指を並べた幅。人差し指の第2関節より少し下のラインを見る
ツボ押しの力加減は?何回押せば良い?
ツボ押しは強ければ効果が高いわけではありません。それどころか、筋肉を傷めてしまったり炎症を起こしていわゆる「揉み返し」ということにもなりかねません。
適度な強さが一番です。ただ、これも目的(症状)によって変えると効果的です。
じんわりリラックスモードとスッキリモード
疲れているときやだるさが取れないときは、押して気持ち良いと感じる程度の軽い圧で押します。リラックスして行うのがポイント。
押すときに息を吐き、戻すときに吸うようにしましょう。
息を吐くと副交感神経が優位になって体の力が抜けます。筋肉も緩くなってツボに入りやすくなります。
押すときはゆっくり、5カウントくらいで。離すときも同じようにゆっくり。
反対に、肩こりなどスッキリさせたいときはもう少し強めの圧で押します。イタ気持ち良い感じで。こちらも5秒キープします。
1つのツボを押す回数は2~3回
回数も多ければよいわけではありません。何度も押していると感覚が麻痺してしまいます。1つのツボは2~3回押すのが目安です。
更年期の症状におすすめのツボはこれ!
更年期症状はさまざまで不調の場所も人それぞれですが、この年代の女性に覚えて欲しいツボを3つ紹介します。
元気になる足の三里
足の疲れをとるツボとして知られていますが、胃腸の働きを高め体全体の治癒力を高めます。胃腸のツボは元気のツボでもあります。
奥の細道で知られるの俳人松尾芭蕉は、旅に出る前に足の三里にお灸をすえていたそうです。
ツボの場所は、膝の(外側)お皿の下から指4本分のくぼみのある場所。向こうずねの外側です。
冷えのツボ三陰交
婦人科系のトラブルにはこのツボです。三陰交は肝経、脾経、腎経の3つの経絡が交わるツボです。 下半身の冷えやむくみ、婦人科系の症状に効果があり「女三里」ともよばれています。
場所は内くるぶしの上から指4本分の高さのところ。ゆっくりリラックスして押しましょう。あまり強く押さないようにします。
元気の源!関元
こちらも婦人科系のトラブル解消によく効きます。生理痛を和らげるツボとして知られていますね。
関元とは「丹田」の場所です。お腹に力を入れて!と言う時は、この丹田をさしています。 場所はおへその下から指4本分の場所です。おへその真下です。
お腹周りはデリケートなので、力をあまり入れずに中指でゆっくり5秒押しましょう。10回くらいが目安です。
ここで紹介した3つのツボと、先に紹介した太衝、合谷は更年期の不調改善に効果があります。日頃からセルフケアしたい場所なのでぜひ覚えてくださいね。

まとめ
更年期には不定愁訴と呼ばれるさまざまな不調があらわれます。治療が必要な場合もありますが、日頃のちょっとしたケアはとっても大事。
今回紹介したツボは特に更年期症状に効果があるので、ぜひ試してみてください。
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