40代後半から50代の女性がちょっと機嫌が悪いと「更年期?」なんて言葉を言われたりします。それくらい更年期=イライラが定着しています。
女性ホルモンのバランスが崩れることによって、体だけでなく心にもさまざまな不調が現れてくるのが更年期の症状! 自分では感情のコントロールがきかなくなることも多くなります。
人によってイライラすることが多かったり、反対に憂うつな気分が続いたりします。 今回は、イライラして困っている!なんとか解消したい!という悩みに焦点をあてて、その原因と解消法を紹介します。
更年期にイライラしやすくなるのはなぜ?女性ホルモンをおさらいしましょう
更年期とは閉経をはさんだ10年間です。ポイントは閉経!月経がなくなるわけですよね。
月経が起こる仕組みはエストロゲンとプロゲステロンというふたつの女性ホルモンの作用です。
生理が終わって排卵日まではエストロゲンが多い時期で(卵胞期)、排卵後から生理まではプロゲステロンが多いのです(黄体期)。
このように、ふたつの女性ホルモンは女性の体で常に一定というわけではないのです。
生理前にイライラしたことありませんか?
女性ホルモンのバランスが急激に変化することから、だるさや頭痛、イライラや憂うつ感などが起こるといわれています。これはPMSといって生理痛とは別のものです。
更年期に起こる不定愁訴もホルモンバランスが大きく乱れることが最大の原因です。そのとき、女性の体にはこんなことが起こっています。
脳がパニック!自律神経も大慌て?
初潮から20年以上、ずっと女性ホルモンを作り続けてきた卵巣も疲れてきます。35歳くらいから徐々にその機能は衰えてきます。
でも、まだその頃は女性ホルモン値にそれほど変動はありません。 ところが、40代も半ばに近づくと卵巣で作られるエストロゲンの量が急に減り始めます。
生体は常に一定の状態を保とうとする働きがあります。 ホルモンを監視しているのが脳の視床下部というところ。これが司令塔となって、足りないときは分泌を促します。
エストロゲンが足りない!と感じた視床下部はすぐ下の下垂体に卵巣にエストロゲンを出させろ!と命令を出します。下垂体は実働部隊というわけです。中間管理職?
下垂体は卵胞刺激ホルモンを分泌して卵巣にエストロゲンを出すように命令しますが、卵巣はもう十分な働きができなくなっています。
この一連の命令系統にはフィードバック機能があって、もう十分だと判断したときは分泌をストップさせ、足りないときにはもっと出せと促します。
卵巣は命令どおりの分泌をすることができなくなっているので、視床下部がいくら出せ出せと指令を出してもエストロゲン量は足りていない状態です。
そうなると視床下部はヒートアップしていきますが、それが続くと混乱を起こしてしまいます。 その混乱が、同じ中枢を持つ自律神経に飛び火してしまうのです。
更年期の症状といわれる不調の一部は、自律神経失調症状なのです。
イライラして何が悪い?更年期だもん、て言える?
誰でも職場や家庭で意に沿わないことがあったりするとイライラします。ただ、更年期の症状はそれまでは気にならなかったような些細なことでイライラしたり、急にカーッとなって声を荒げてしまったりすることが問題なのですね。
その情動を抑えられなくなるので、まわりの人も自分自身も戸惑ってしまうことが多いのですね。もともと怒りっぽい人は、そういう人なんだとまわりの人も半ばあきらめていますから。それはそれで問題ですが。
更年期のイライラの問題点を整理してみましょう
先に説明したとおり、更年期にはエストロゲンの急減という大きな体の変化があって自律神経失調症状が強く出てしまいます。
イライラの原因がそれだけの場合は、更年期が過ぎれば嘘のようになくなってしまうことが多いのです。安心してくださいね。
そうは言ってもイライラしてばかりは精神衛生上よくないです。できれば解消したいですね。イライラの最大の問題はこのふたつだと思いませんか?
- イライラして当り散らしてしまう自分に自己嫌悪
- 仕事や家庭での人間関係に支障がでる
更年期を自覚して開き直る!宣言するのも手立て
カッとなってしまう自分、イライラしてしまう自分を責めないことです。更年期は誰にでもやってくるんだ!と自分の変化を自覚しましょう。
その上で、まわりの人に言ってしまうのもひとつの手です。家庭では、「お母さん更年期でイライラしちゃう時もあると思うけど許してね」と言ってみては?
親身になって同情してくれなくても、イライラしているな、と察したらすーっと姿を消してくれると思いますよ。目の前にいられて怒りをぶつけてしまうよりずっとマシです。
職場ではちょっと言いにくいかもしれませんね。 更年期で「体調がすぐれなくて不機嫌なときもあるかと思いますが」・・・ というくらいソフトに言うことがコツです。
イライラしてしまったら!その時するべき解消法
まずは深呼吸です。これはよく言われることですね。でも、その前にちょっとしたコツを知っていると心が落ち着く早道になります。
自分のイライラの原因は?
これは、目の前で起こったことを受け止めるということです。例えば、帰宅した娘が制服もかばんもソファに投げ出したまま・・・。イライラして「片付けなさいっ!」つい怒鳴ってしまいますね。
まず、自分が怒っていることを感じましょう。 あ、私怒っているんだ。じゃあ、何に対して? その答えは、
- 部屋が散らかっているのが気に入らない
- きちんとできない娘に情けない思いになる
その他にもあると思います。どれもこれも!ということも多いかもしれませんが、ひとつずつ考えていきます。
解決策は、 自分のことは自分できちんとできる娘にすること、とすれば怒鳴って叱ってやらせても効果はないことは育児をしてきた中でよく知っているはず。 反抗期の子供に対しては逆効果でしかありませんしね。
どんなふうに言ったら効果的か?我が家は「とりあえずBOX」に子供の私物はポイポイ入れてまとめて渡します。言ってもなかなかやらないときは、さらにイライラの原因になりますから。
冷静なときに、あらためてどうして欲しいか伝えます。 これは我が家の日常風景ですが、イライラしたときは一旦自分の感情を整理します。感情から思考へいかにスライドさせるかがポイントです。
そして深呼吸。同時でも良いです。胸に手を当てて落ち着くまで深呼吸してみましょう。「まぁ、いいか」と思えるまで続けましょう。
その場から離れる(物理的に距離を置く)
職場などでイライラしたときは、いったんその場所から離れるのも効果的です。トイレに立つなどして距離をおきましょう。そして深呼吸です。
更年期のイライラ解消法!アロマ効果で気分を鎮めよう!
アロマテラピーは日本語で芳香療法と訳されます。植物の力が凝縮された香りをかぐことで疲労回復やストレス解消、リラックス効果が高く、更年期の諸症状を緩和する効果が高いのでおすすめです。 アロマがどのように体に働きかけるか、簡単に紹介します。
鼻から脳へ伝わり心身へ作用
鼻くうの奥で感知されたアロマの情報は、電気信号におきかえられて脳に伝達されます。脳の大脳辺縁系や海馬、視床下部に伝わって心身へ作用するのです。
大脳辺縁系は感情、海馬は記憶、視床下部は自律神経やホルモン分泌、免疫の働きを調節しています。 それだけではなく、肺からも吸収されます。
ベースオイルで薄めたエッセンシャルオイルでマッサージすることでも効果が高いのです。
- 肺粘膜から血管に吸収され各臓器へ
- 皮膚から吸収して全身へ
イライラ解消におすすめのアロマエッセンス
エッセンシャルオイルにはそれぞれ効能がありますが、その人によって好きな香りもあるし、その日のコンディションによっても変わってきます。 基本は自分がそのとき心地よいと思える香りが必要としているということなのです。
とはいっても何を選んでよいか迷いますよね。 イライラしたときにおすすめのエッセンシャルオイルを一部紹介します。
- イランイラン・・・アドレナリンの流出を抑え神経系をリラックス
- クラリセージ・・・ホルモン調整作用にすぐれ更年期にはおすすめ
- カモミール・・・高ぶっている神経や心を鎮める
- ゼラニウム・・・鎮静作用、ホルモン調節作用もある
- ペパーミント・・・怒りを鎮め精神的な疲労を取り除く
- ラベンダー・・・ストレスを和らげ疲労を回復
- サイプレス・・・イライラや興奮を鎮める
更年期のイライラ解消にはバランスの良い食事が基本!
イライラしていると「カルシウムが足りていないの?」と言われますよね。これ、ある意味正解です。でも、それだけではダメなのです。
カルシウムはマグネシウムとバランスを取り合って神経を調節しているので、同時にマグネシウムも摂る必要があるのです。
このように、イライラ解消にはこれが良い!不足分を補え!とたくさんの情報があふれています。それをひとつひとつ丁寧に実践していくことはなかなか難しいのが現実では?
もちろん、それができるのでしたらベストです。 イライラだけでなく、更年期の症状をなるべく軽く済ませるには食事はとても重要であることに変わりはありません。そこで、これだけは実践!というポイントをまとめました。
- 野菜中心のバランスの良い食事
- スナック菓子や甘い物、添加物の多いコンビニ食などは避ける
さらに、バランスの良い食事で特に気をつけたい7項目はこちら。
- 脂質を摂り過ぎない
- 糖分を摂り過ぎない
- 塩分を摂り過ぎない
- ビタミンを多く摂る
- カルシウムを多く摂る
- 食物繊維を多く摂る
- たんぱく質は植物性たんぱく質を中心に
スナック菓子などに含まれている食品添加物の中でも、リン酸塩はカルシウムの吸収を妨げるだけでなく、血中のカルシウム濃度も低下させます。控えましょう。
まとめ
更年期はホルモンのバランスが崩れることによって衝動的にイライラすることが多くなってきます。それに、40代50代は自分ではどうにもできないような様々なストレスにさらされる年代と言えるでしょう。
大事なことは、自分を責めないことです。もちろん理不尽に声を荒らげてしまったことに対して反省は必要です。
でも、真面目で誠実な人ほど自分を追い込みがち。更年期で過敏になっているんだ、とおおらかに構えて良いのです。
その上でなるべくリラックスした環境に身を置くことを心がけてください。今回紹介したアロマを使ったり気分転換でもいいです。バランスのとれた食事も忘れずに…。