更年期以降、エストロゲンは急激に減少していき、閉経を迎えると卵巣からの分泌が一切なくなってしまいます。
まずはエストロゲンが減少することによって起こるさまざまな不調、かかりやすくなる病気などを知っておきましょう。
閉経したらどうなる?女性の体に起こるさまざまな変化
エストロゲンは女性にとってとても大切な役割を担っています。卵巣から分泌され始めて初潮を迎え、妊娠しやすい状態や妊娠の継続という生殖に深く関わることはもちろん、女性の美容や健康に大きな貢献をしています。
- 丸みを帯びた女性らしい体を作る
- 妊娠・出産といった生殖機能
- 生活習慣病などの病気のリスクを軽減
女性が男性に比べて高血圧などの生活習慣病が少ないこともエストロゲンによって守られているからなのです。
閉経を迎えると卵巣の機能は完全に停止します。卵巣で作られる女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンも作られなくなってしまうのですね。
ところで、更年期障害で悩む女性が増えたのは近年になってからです。それは、日本人の平均寿命と大きく関わっています。
現代日本人女性の平均寿命は?
日本は長寿国であることは知っていますよね。2020年の調査では女性87.74歳 男性81.64歳 となっています。男女ともに過去最高を更新しました。
ちょっと豆知識、平均寿命とは?
平均寿命というのは、その年に死亡した人の平均年齢と勘違いされやすいのですがまったく違います。算出には複雑な試算方法がありますが、0歳の平均余命のことです。
平均余命とは、その年齢の人が平均してあとどのくらい生きられるかを示したものです。厚労省の発表する平均余命表がありますので令和2年簡易生命表を載せておきます。 この
令和2年簡易生命表(男)
令和2年簡易生命表(女)
表からも、女性の平均閉経年齢は50歳前後なので、それ以降の人生は30年以上あると考えられるわけですね。
昔の女性には更年期はなかった?
さて、今を生きる女性にとって避けて通ることができない更年期ですが、それは近年になってからの概念です。
平均寿命が50歳を超えたのは戦後
今でこそ長寿国と言われている日本ですが、平均寿命が50歳を超えたのは戦後になってからなのです。
明治以前の日本は、乳児死亡率が高かったことが大きな要因で、今では信じられない年齢が平均寿命でした。
女性は出産も命がけ
例えば、平安時代の貴族の平均寿命は男女ともに20歳代と言われていますが、乳幼児死亡と出産時の女性の死亡がかなり多かったためです。
実際に20歳くらいまで生きた人の寿命は長かったそうです。ただ、その比率はかなり低いものですし、出産を経験した女性の割合はもっと低くなります。
更年期を経験しなかった理由
平均寿命が50歳を超えたのは戦後のことなので、閉経するまで存命していた女性の数が少なかったのは事実です。更年期を迎える前に亡くなる人が多かったわけです。
人生の3分の1はエストロゲン微量時代
女性の平均寿命は87歳となり、現在閉経年齢を迎えた女性も30年以上の余命があります。30年といったら人生の3分の1を占めます。
閉経後エストロゲンはゼロになる?
エストロゲンは主に卵巣で作られますが、実は妊娠中の胎盤や副腎でも生成されます。
閉経によって卵巣はエストロゲンを作ることはなくなりますが、副腎(主に副腎皮質)でも作られます。
といっても、副腎からエストロゲンが分泌されるわけではなく、副腎皮質ホルモンのアンドロゲンが変換されてエストロゲンになります。(アンドロゲンは男性ホルモンです。)
閉経後にまったく女性の体からエストロゲンがなくなってしまうわけではありませんが、その量はほんのわずかになってしまうのです。
閉経後は病気のリスクが高くなる
更年期は女性の体にとって大きな節目です。閉経後はエストロゲンによって守られてきた鎧がはずれて、骨粗しょう症をはじめ、高血圧や糖尿病など病気のリスクが高くなってしまいます。
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更年期の不調を上手に乗り切ることは、その後の30年を健やかに過ごすためにとても重要になってくるのです。
まとめ
閉経を迎え、卵巣からのエストロゲン分泌はなくなりますが、体からまったく消えてしまうわけではありません。微量ながら副腎でも作られます。
ただ、その量はごく微量でそれまで受けていた恩恵はなくなってしまうと考えたほうがいいでしょう。
それでも現代の女性は平均寿命まで30年という長い期間を過ごすことになります。更年期は心身をしっかりメンテナンスして素敵な円熟期を迎える準備期間と言えそうです。