更年期のうつうつ気分はなぜ起きる?複雑に絡み合う2つの原因
特に思い当たることはないのに、最近なんだか気分が晴れない・・・更年期の女性によくみられる心の症状です。うつうつとした状態が何日も続くなんてつらいですよね。
もともと女性は「うつ」になりやすい傾向があります。それは女性ホルモンの影響によるものです。うつと女性ホルモンは、思春期から更年期を通して影響しあうのです!
- 月経前不快気分障害(PMDD)
- 産後うつ
- 更年期うつ
どれも女性ホルモンの仕業ですね! こんな症状ありませんか?
更年期うつ予備軍チェック
- 朝目覚めたときから憂うつな気分になる
- 出かけるのが億劫になった
- 人と話すのが面倒くさくなった
- おしゃれをする気が起きない
- 今まで好きだったことに興味がなくなった
- 急に不安な気分になって心がざわざわする
- 将来のことが無性に不安になる
- たまらなく孤独感を感じる
- 急に涙があふれて止まらなくなる
エストロゲンの急減は心にも大きな影響を!
更年期には、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減少します。体がエストロゲン不足に慌てている状態です。
更年期の不定愁訴の原因のほとんどがこのせいです。 憂うつな気分になるのも、エストロゲンが減って自律神経が乱れることが原因のひとつなのですね。
自律神経失調症の心にあらわれる症状にも不安感が多いです。 エストロゲンについてもうひとつ言われているのが、セロトニンのと関係です。
セロトニンは幸せホルモンとよばれる分泌物のうちのひとつです。
(3つの幸せホルモンとはセロトニン、ドーパミン、オキシトシンです。)
セロトニンとは?不足するとどうなる?
セロトニンは心のバランスをとるホルモンで安定のホルモンともよばれます。
極度のストレスがかかったときには、カッーッと衝動的になったりひどく落ち込んだり・・・そんなときセロトニンが分泌されてそれらの衝動を抑制する働きがあります。
このセロトニンが少なくなると、ストレスに対する抵抗力がガタッとなくなってきてしまうのです。今までだったら上手に解消できていたストレスにも、大きなダメージを受けてしまうように!
悲観的な考えが続くと、うつ病やパニック障害などを引き起こすリスクも高くなります。
エストロゲンとセロトニンの関係
エストロゲンは、セロトニンを活性化させる作用があります。
更年期にエストロゲンが急激に減少することで、安定のホルモンであるセロトニンの働きも悪くなってしまっているのです。
もともと、女性はセロトニンを消耗しやすいのです。それは、脳の構造に関係しています。女性は男性に比べて、右脳と左脳をつなぐ脳梁(のうりょう)の一部が太くなっています。
それは何を意味するかというと、耳や目などからの情報を観察する能力に優れているのですね。でも、そのおかげで色々なことに思考をめぐらせて、それがセロトニンの消費につながってしまうのです。
思いをめぐらすということは、大なり小なり不安やストレスを感じるってことですから。
憂うつ感につながる外的要因が多いのが更年期世代!
そして忘れてはいけないのが、40代後半から50代はストレスフルな年代ということ。家庭を持っている人は、何かと変化の起きるときではないでしょうか?
家庭内のさまざまな変化が起こる年代が更年期
子供が大学生くらいになればもう母親業は終盤です。就職や結婚で独立することもあります。いわゆる「空の巣症候群」になる人も少なくありません。
パートナーは働き盛りを過ぎ、定年が近づいてくると経済的にも心配なことが増えてきます。それまでうまく役割分担できていた夫婦関係も見直す必要が出てきます。
夫が定年後、一緒にいる時間が長くなって精神的なストレスから病を引き起こすことも。夫原病なんていう言葉も聞きますね。
親世代が何かと病気になることも増えてきます。介護の問題も大きな負担です。
あちこち不調を耳にしない?病気が身近に感じられる頃
そして、同年代の友人知人から健康上の悩みを聞くことが多くなるのも50代!
ガンや心疾患など重篤な病気もそうですし、40代女性にバセドウ病や橋本病など甲状腺の疾患が増えてきます。
更年期の不調も重なって、自分の健康が不安になる時期でもあるのです。
仕事を持つ女性にとっても更年期はつらい時期!
仕事を持っている女性は職場でもさまざまな問題にぶつかるときです。がんばって働いてきた結果としての昇進は嬉しいものです。
一方、管理職になったら責任も重くなります。女性というだけで部下や同僚に気を使う必要があるかもしれません。
パートであっても新人の指導役を任されたりといったことが多くなります。そうでなくても職場での人間関係はたいへんです。
こうした人間関係のストレスに、仕事でのミスやトラブルが重なると自信を無くしてしまいますね。必要以上に落ち込んでしまうことも。
更年期のうつ状態はどこからがレッドゾーン?治療法は?
このように、更年期にはなんとなく気力が出ない、不安感、気分の落ち込みといった心の不調が出やすくなります。
ただ、その悲観的な感情が更年期の体の変化によるものだけなのか見極めることは大切です。女性のうつ病は男性の2倍、特に20代と40代後半から50代に多く発症しています。
日常生活に支障が出るようなら迷わず受診
不安感や孤独感、気分の落ち込みが激しく、布団から出られない・人と会うのが怖いなど日常生活に支障が来たしたら迷わず医療機関へ。
うつ状態が更年期の症状だけでなく、うつ病など心の病であるかもしれません。どの科を受診して良いか迷うときは、婦人科・心療内科・精神科など行きやすいところへ行きましょう。
HRT(ホルモン補充療法)で症状が改善されることも!
更年期の不調が大きなストレスになっていることもあります。ホットフラッシュや冷えで眠りの質が落ち、睡眠不足が続いたりすることも影響しますから。
不足したエストロゲンを外から補うことで、自律神経失調症状はずいぶん軽減されます。これで心の不調が改善されることもあります。
HTRが効かない・症状が重いときはカウンセリングを
HRTでも心の不調が治らないときは、カウンセリングによる治療も必要になります。カウンセリング技術を持つ婦人科医にめぐり合えれば一番ですが、そうでない場合も心療内科など紹介状を書いてもらえます。
第三者に話を聞いてもらうことが大事
精神科というと抵抗を感じる人もいるかもしれませんね。でも、現代は多大なストレスに取り囲まれています。
多かれ少なかれ誰でも悩み、不安を感じたりうつ状態になったりします。 恥ずかしいと思うことなんて全然ないです。
あなたが精神的に弱いわけでもありません。第三者に話を聞いてもらうだけでも心はずいぶん楽になります。
更年期のうつうつを改善する日常生活のポイント
医療機関での治療とともに、心のケアで大切なのは自分自身の在り方です。日常生活で注意することをはじめ、お助けアイテム、心の持ち方について紹介します。
アロマの力で不安を吹き飛ばす
気分が沈みがちなときは芳香浴でアロマの力を借りましょう。 おすすめの精油はラベンダーやベルガモット、クラリセージなど。
電気のアロマポットは手軽に楽しめるので、ぜひ持っていて欲しいアイテムの一つです。
ハーブティーでリラックスタイムを
1日のうち15分でも良いのでゆっくりティータイムをとりましょう。そのとき飲むのはハーブティーがおすすめです。
ハーブの香りは大脳を刺激します。香りも楽しみましょう。
おすすめはセントジョンズワート、ハイビスカス、ジャーマンカモミール、パッションフラワーなどですが、ブレンドされた商品もたくさんあります。ネットで購入できますので活用しましょう。
不安感が襲ってきたらこのツボ!
急に不安感を感じてドキドキしてしまったら、大陵を押しましょう。
場所は左右の手首の手の平側の横ジワの中央です。 手首を曲げると出る2本のすじの中間。
押し方は、親指を大陵にあて手首をつかむように押します。 3分間繰り返します。
今の自分を認めてあげましょう
責任感が強い人や頑張り屋さんほど更年期に心の症状が出やすいです。今まで出来ていたことがうまくいかなかったりすると、自信を失って自分を責めてしまうことも。
体力も落ちて、そこに更年期の不調があれば若い頃のようにはいかないのは当たり前です。そんな自分を責めるのはやめましょう。
子供が巣立ったらそこまで育てた自分に誇りを持ってくださいね。
家事はそこそこに。今までがんばってきた人はたまには手抜きしましょう。お掃除ロボや食洗器など活用するのも良いですね。
自分を褒めてあげよう
更年期って思春期と似ています。些細なことで傷ついたり不安になったり。でも、親であったり上司であったり・・・50代にもなるとゆらぐ心情を正直に表すことは難しいです。
この年代の悲観的になる心は、女性ホルモンの仕業、そして取り巻く環境によるストレスが原因です。ストレスになる外的な要因を取り除くことはなかなか難しいかもしれません。
まず、今の自分を認めて何が起きても責めないことです。「自分はよくやっている!」と褒めてあげてくださいね。
そして、ハーブのティータイム、アロマ入浴など取り入れてしっかりリラックスする時間を持ちましょう。
好きなアーティストの音楽を聴くことでも、写真集を眺めることでもなんでも良いです。自分が心地良いと思える時間を大切にしましょう。
まとめ
更年期の心はとってもデリケートです。情緒が不安定になっていると自覚する女性も多く、イライラだけでなく不安感や神経過敏になっていると悩む人の割合も多いのです。
- 気分が沈むことが多くなった
- わけもなく不安感におそわれる
- 急に涙が出て止まらないときがある
その他にも「何もする気が起きない」「たまらなく寂しい」などネガティブな感情に支配されてしまうことも多くなります。
何もやる気がおきなくて人と会うのも億劫になって外出もしなくなったり、布団から出られなくなって会社を辞めてしまったという人もいます。
専業主婦であっても、家事もできなくなったりすると怠けていると言われることも。そんな自分を責めて、さらに症状が悪化すると更年期うつになりかねません。
更年期の心の不安定さは思春期のそれとよく似ています。傷つきやすい繊細な時期なのだと自覚して、しっかりケアしましょう。